まったり戯言置き場

時事、アニメ、ネット小説、車、アウトドアなど、雑食で書き散らす場所

ロックフェスの開催を医師会がとめられるのなら、事前に相談はしないのかな?

水のステージ III

はじめに、筆者はまったくロックフェスに興味が無い。予備知識も無く、疑問におもったことをつらつらと書く。

 

というわけで、ひたち海浜公園で行われる予定だったロックフェスが、直前に医師会の申し立てにより中止になったという話についてだ。なぜ、主催は医師会の要請について、中止という結論だったのだろう?

 中止の判断は、医師会に責任があるのか?

なぜ医師会の要請と折り合いをつけて開催しないのか

もともと、最初にこのニュースを読んだときに、一番の疑問は「対策をしている自信があって、自治体とも連携がとれているのなら、いまさらコロナ感染対策でなんの権限もなく、力も無いであろう県の医師会の要請に中止という結論をだしたのだろう。」ということだった。

 

なお、あらかじめ書いておくとそれについての答えを見つけてきたわけでもなく、この記事にあるのは単なる感想である。

 

そもそもロックなんていうのだから、素直に従わないで表現活動をしてもいいのではないか。なにより、自治体との調整ができていて、ある程度感染対策に自信があったのではないのか? まあこの段階で医師会がしゃしゃり出てくるとはおもっていなかったので、調整ができずリスク回避をしたのかなーという想像で、一度は自分の中で完結していた。

春に前例があったのなら予見はできるのでは?

しかし、新たにこの記事を読んで疑問がおきたのだ。

nlab.itmedia.co.jp

この中に

春に中止となったARABAKI ROCK FEST.20th×21でも宮城県医師会・仙台市医師会・柴田郡医師会の連名で主催者へ開催10日前に中止要請の手紙が届いていました。

とある。以前も医師会の要請で中止になったフェスがあったということではないか。それならば、なぜその時点で、地元茨城の医師会に相談するなどのアクションをとらなかったのだろう?

 

「要請があまりにも急で対応できなかった」といった主旨のコメントをよんだ覚えがあるのだが、医師会の要請に応えて中止にするくらいには医師会を重く見ているのであれば、この状況ならばあらかじめ確認しておくのが段取りではないのだろうか。

 

「この要請をうけたら中止判断をする」ということと「あらかじめ話をしておかない」というのが、「春に前例があった」ということを加えると、主催社の行動に矛盾を感じてしまう。まあ、実務として難しかったということは考えられるが……。

医師会の要請は遅かったのか?

医師会は直前まで何をしていたのか、しらなかったのは関心がなかったのではないか、といった意見も見られたが、そもそも医師会が要請にいたったのは不安に思っている右医者が複数いるという意見が、支部にあがり、それが県医師会にたどり着き、対策をすべきか協議して、意見をまとめた上で要請に至ったという流れ。大規模なイベントをチェックして要請をいれているというわけではなく、スタートは会員の不安を組織の問題として捉えて対応した、という視点としては近くしか見ていないようなものに思える。

 

本質論は、国全体や県全体に感染が広がるから、といったことではなく、会員の不安にたいするアクションだと考えると、具体策もなく内容も抽象的な要請だったことも納得しやすい。

 

うがった見方をすれば「県内にコロナが拡大する恐れがあり、医師会として不安である」というよりも「県外からきたコロナに罹患しているかもしれない人間が、熱中症や急性アルコール中毒や怪我などで救急搬送されてくるのが怖い」という、開業医のコロナに対する恐怖、あるいは嫌悪感の表れに過ぎないのではないだろうか。

 

すなわち、医師会としてコロナ対策を考えて網をはっていた訳ではないので、直前までイベントの存在に気がつかなかった、と感じる。また「このフェスを知らないなんて」という意見も見かけたが、筆者はこのニュースでこのフェスを知ったし、そもそも地名が入ってなければどこでやるのかもわからない。そう、フジロックが富士山でやっているとずっと思っていたくらいに、興味がないものなんてきっかけがなければ情報は入ってこないものだ。

フェスにコロナ患者がいたとして、地元開業医への影響は?

そもそもフェスで大規模なクラスターが発生したとしても、地元の医療機関に大きなダメージが起こるのだろうか? フェス参加者の多くが県外から来ていると考えると、地元での濃厚接触者は少ないのではないか。

 

またフェスでクラスターが発生したとしても、感染者から感染が広がるのはフェスが終わってからだ。国や自治体として考えれば、クラスターが発生してコロナ罹患者が増えるのは問題だが、地元の開業医にとってはそこまで大きな影響はないのではないだろうか。

 

少なくとも、フェス参加者が当日コロナで搬送される、といったことはほぼありえないだろうし、フェス期間にコロナ病床を県外から来た人が奪うこともほぼ無いだろう。

 

となると、やはり他の症状で運ばれてきた患者が、実はコロナに罹患していた、といった「自分たちへの感染リスク」が高くなることが問題なのではないだろうか。そもそも、医師会の意見は開業医寄りだ。コロナ医療や感染症対策の最前線の意見とは異なることもあるだろう。

問題はそれぞれの立場でどう折り合いをつけるか

感染対策だけを考えたらやらないほうがいいとなるのは当然

感染症の対策だけを考えるなら「人の移動・接触を減らす」ということを優先するのは当然だ。いろんな対策をとって頑張る必要があるのは、感染症対策を優先するのではない立場の人間だ。よって、もとから医療側の意見は、より制限を厳しくする側に立つのは当たり前だろう。

 

だからこそ、イベントや飲食店は、国民全員とは無理でも少なくとも地域社会と折り合いをつけて、今の状況に合った「コロナ対策をしたうえでの運営」という妥協ラインを作り上げるしかない。そのためには早い段階での地域社会との対話が必要だし、地域社会の一員となる必要があるだろう。

果たしてフェスは地域に受け入れられていたのか

もともとこのフェスと地域社会の関係、というのも気になる。コロナ禍以前から、良好な関係にあったのだろうか? それとも今回、コロナという状況を押しつけられることで、それまでにあった問題が噴出したのだろうか。

 

地域全体がフェスの開催を待ち望んでいれば、その構成員である医師会とて中止よりも開催にむけた妥協ラインがみえる形で要請ができたんではないか。またそうであるなら、今回のことで地元から医師会へのクレームなども出てくるのではないか。

 

コロナ禍のイベントにとって、地域社会との関係は大切だ。サッカーや野球が現在試合開催できるのは、地元のチームという地域との共生ができていることも一因なのではないだろうか。

 これからのイベントはどうなるのか

 どんな妥協ラインを社会はつくってくのか

 オリンピックは、無観客での開催となった。これが正しかったのかどうかはわからないが、世論の流れとしては仕方ないのではないか、と考える。というよりも、具体的な対策を緊急事態宣言とワクチンだけで行い、様々なッ自粛を国民に強いてきた結果、オリンピック「だけ」妥協することが許されない状況になってしまった。

 

そのうえ、オリンピックを開催するということから、今回のフェス中止のように他のイベントが中止になることに矛盾が生まれてしまった。またオリンピックは無観客なのに、プロスポーツは観客をいれる、といった矛盾も生まれている。

 

あちこちに矛盾があるからこそ、世論も分散する。そもそもスポーツやイベントに興味がなく、仕事でも関わりがないのなら、開催されようがされなかろうが関係無い他人事だ。それよりも、自分が罹患するおそれのあるコロナのが問題意識が高くなり、中止の方向に声が上がる。

 

一方で、自分がイベントやスポーツを楽しみにしていたり、仕事にしていれば大きな問題だ。自分の中でコロナの罹患リスクと天秤にかけながら、楽しみたい、仕事をしたいとなるのは当然だ。だからこそ、世論はまとまらないどころか、国民に断裂がうまれる。

政府の判断が曖昧なのが全て悪い

一番の原因は、明確な基準を主導できない政府だ。感染対策と経済、そして国民社会のストレスとバランスを見て、平等に扱っていく必要があるのに、場当たり的な対策を国民に強いていたり、一部のイベントだけ優遇されているように見えているのが問題だ。

 

4回目の緊急事態宣言は、そもそも緊急事態宣言を出すに足る状況だったのか? いろいろな基準が決まっていたはずなのに、それがないがしろにされているように思える。さらに、その効果が本当にあるのだろうか。緊急事態宣言は、その制限内容よりも、緊急事態宣言という言葉の強さで、国民に自粛をしいることの効果が大きかったと感じる。

 

しかし、緊急事態が常態化してしまえば、そんな効果も期待できなくなる。飲食店が2人に90分間酒を提供することをやめるだけで、いかほどの効果があるのか? そもそもそれに多くの人の生活を苦しめるだけの意味があるのか?

 

今回のフェス中止に至っては、政府の要請では無く地方医師会の要望という小さな存在からの要請だ。受け入れるにしても、受け入れないにしても、医師会が結果に対してなんらかのアクションを起こせたとは考えにくい。あったとして文句を言い続けるだけで、診療拒否などは出来ないだろう。一方で受け入れたからといって、やはり何かをしてくれるわけではない。上っ面の感謝が送られるくらいだろう。

運営はコロナに対してどこまで責任をとって行うべきなのか

だからこそ、運営は医師会に理由を押しつけるのでは無く、自分たちの責任で開催の有無を決めるべきだったし、少なくとも中止の理由を医師会に押しつけるようなリリースをするべきではなかったのではないか。

 

むしろ、感染対策をしっかり行った上で、イベントを実施するという結論でよかったのではないのか。医師会の要請が無くても、コロナ感染者がでればバッシングは発生するだろうし、でなければ問題無く終わるだろう。そして医師会の要請がなくても、コロナ感染対策をおこなって実施するのは当然のことだったはずだし、実際にいろいろと準備されていたはずだ。

 

だからこそ、やると決めていたなら、中止の判断をしないで行うという選択肢をえらんでよかったのではないだろうか。そしてやると決断したことを、地域からも評価され、応援される準備が必要だったのではないだろうか。